敵対心(ヘイト)には、時間で減少する揮発(時間揮発)敵対心と被ダメージによって減少する累積(被ダメージ揮発)敵対心があります。
この累積敵対心について、その減少方法はどうなっているのか調べてみました。
前提条件
- IL119 ナ/戦
- HPmax2084
- 先制敵対心なし
- 敵対心装備なし(メリポ敵対心0)
- イオニス等なし
- 揮発敵対心は0にする
既に累積敵対心の減少式は2013年2月に開発者サイドから公開されています。
以下がその式です。
被ダメージ揮発敵対心=1800*d/PCのHPmax
FAINAL FANTASY XI Forum
敵対心について より
この減少方法に手を加えたという公式報告はありません。
この式が今もあっていればこの検証はすぐに終了です。
検証方法
対象はケイザック古戦場の Colossal Spider を使いました。
絡ませた蜘蛛にバッシュ(累積450/揮発900)を当て、被ダメージ後に(揮発分を抜くために15秒以上待ち)以下のマクロを実行。
/a <t> <wait 2>
/ws ロイエ <wait 1>
/a off
これで通常攻撃を挟むことなくロイエのみを実行することができます。
そうして出てきたロイエダメージから
物差しロイエを利用して累積敵対心値を算出します。
検証
検証データ1被ダメージ | ロイエダメージ | 累積敵対心 |
---|
22 | 72 | 438±5 |
450-438±5=
12±5 減少しています。
フォーラムの式に当てはめると、
floor(1800x22/2084)=
19合いません。
やはり2013年2月~現在に至るまでの間に行われた敵対心システムの調整で、累積減少式にも手が加えられているということになります。
では具体的にどこに手が加えられたのか?
他にも様々な検証データを取った結果から私はこう仮定してみました。
floor((1800xA)x被ダメージ/HPmax)
理由は二つ、
一つは、敵対心システムというゲームの根幹に関わる部分を全く異なる式を用いて再構築するとは考えにくい
もう一つは、これ
※1800は後衛職からみると渋いと感じるかもしれません。
この値を大きくすれば被ダメージによって敵対心は抜けやすくなりますが、逆に盾役がダメージを受けた時にターゲットを維持しにくくなります。もしここを調整するなら、特殊な分岐をいれるなどの検討が必要です。
FAINAL FANTASY XI Forum
敵対心について より
この発言のとおり、式の原型を留めたまま手を加えるのであれば1800部分に手を加えるのが最も自然だからです。
被ダメージやHPの方に手を加えてしまうと、今後のHP増加量や被ダメージの調整によって大きな影響を受けてしまいます。
では何故 1800xA なのか?
それは検証データ1と以下の検証データ2を合わせてみてみるとわかります。
検証データ2被ダメージ | ロイエダメージ | 累積敵対心 |
---|
94 | 64 | 390±5 |
これは後ろ向きで盾を発動させずに大きめの被ダメージをもらったパターンです。
450-390±5=
60±5 減少しています。
検証データ1での1800xA部分は、1136.72748
検証データ2での1800xA部分は、1330.21265
つまり、1800が別の数値に置き換わったわけではなく何らかの変数になったということになります。
その変数を1800xAと置き換えています。
Aとはなんなのか?
結論から言えば、Aは受けた被ダメージ量で抜ける累積敵対心の割合を変動させる変数です。
例えば50ダメージを4回受けるよりも、100ダメージを2回受けた方が累積敵対心の減少量は多くなります。
以下の検証データ3,4は、平均被ダメージに差を設けた上で合計被ダメージが同じ程度になるよう調整したものです。
検証データ3被ダメージ | ロイエダメージ | 累積敵対心 |
---|
22 | | |
22 | | |
26 | | |
17 | | |
26 | | |
16 | | |
11 | | |
12 | | |
22 | | |
16 | | |
24 | | |
18 | | |
16 | | |
8 | | |
13 | | |
10 | | |
14 | | |
28 | | |
28 | | |
18 | | |
17 | 33 | 204±5 |
合計ダメージ384
平均ダメージ18.3
抜けた総累積敵対心450-206±5=246±5
平均A=
0.74170139検証データ4被ダメージ | ロイエダメージ | 累積敵対心 |
---|
38 | | |
44 | | |
66 | | |
56 | | |
60 | | |
93 | 237 | 1428±5 |
合計ダメージ357
平均ダメージ59.5
どのくらい抜けるか未知数だったので、シールドバッシュ(450)+パリセード(900)+ランパート(320)で累積敵対心を1670稼いでいます。
※パリセードの効果は被ダメージ前に手動切り抜けた総累積敵対心1670-1428±5= 242±5
平均A=
0.78482415変数Aが大きいほど敵対心は抜けやすいので、被ダメージが大きいほど敵対心は抜けやすいということになります。
変数Aの最低値はおそらく0.5か0.6。
最高値は不明ですがおそらく1.0と予想、即ち被ダメージが極めて大きい場合は調整前と同じ抜け方になるのではないでしょうか。
どうしてこうなったのか?
ダメージインフレを起因とする与ダメージ敵対心の大きさから、敵対心システムが殆ど機能していない状態が長らく続いていました。
最初に紹介したフォーラムの記事はその状態をこれからなんとかしていこうという話の中で出てきたものです。
記事内でその可能性を示唆したとおり、1800部分に条件分岐(変数)を入れて累積敵対心の抜けという部分にも手を加えたのでしょう。
それが成功だったか失敗だったかはこの部分だけをみて決めることはできないのでなんとも言えません。
しかし被ダメージを減らす盾役は敵対心が抜けにくく、被ダメージの大きいアタッカーや後衛は敵対心が抜けやすいというこの調整は理にかなったものだと私は思います。
どう活用するか
私の予想した式の成否は置いておくとしても、
- 全般的に累積敵対心は抜けにくくなっている
- 被ダメージ量が大きく(小さく)なれば抜ける敵対心の割合も大きく(小さく)なる
この2点は検証データの傾向から明らかなので、
盾役を担う場合は以前よりも被ダメージ減少に気を配る。
減らしたダメージ以上の見返り(累積減少量の低減)があるので、被ダメージを抑えれば抑えるほど固定力は加速度的に増します。
ターゲットを取りたくない場合は即死しない程度のHPやカット装備を選ぶ。
死にたくないからと盾並みのカットを実現してしまうと、ターゲットを取ったときになかなか剥がれないという事態に陥るかもしれません。
この辺を意識しておくと累積敵対心減少の仕様を効果的に利用できるのかなと思います。
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コメント
K
りがさんの敵対心に関する記事は読み物として非常に考えさせられるものばかりだと改めて思いました。
言われてみればカットを50%にして殴っている近接でタゲを取った場合の剥がれ難さみたいなものは後衛目線でも感じていたのでそういうからくりがあったのか・・・と
PT戦闘であればカットを盛るよりも即死さえ無いならカット部分をHP増加にしてみるとタゲを取ってもすぐにはがして貰える状況というのが結構ありそうですね。
色々と装備試行錯誤してみます。
2015/07/30 URL 編集
S
普段から盾をやっていると、感覚的に理解している部分が多いですが
その感覚的な部分を理論的に解析、解明、数値化してみると、改めて、
「なるほどそうだったのか」と思わされる部分があって関心します。
与ダメによって上昇するヘイトに関しても、累積与ダメが同じ数値でも、
小さい数字の積み重ねよりも、大きい数字を出した方が、トータルの
ヘイト上昇は高いという(これも感覚的な)話がありますよね。
被弾によるヘイト抜けも、それと似た仕様といったところでしょうか。
りがさんの盾の安定感、安心感は、こういった御自身の検証に
裏付けられたものなんですね。(ときどき回線だけは不安ですがw)
これからも安心して盾をお任せしますので、よろしくお願いします!
2015/07/31 URL 編集
りがみり
今回の検証に至った経緯も、体感で累積が抜けにくいような気がしていたからなんですよね。
戦闘中の緊急トイレで10分離籍してもタゲ動かないというのは、以前だとちょっと考えにくかったので。
> PT戦闘であればカットを盛るよりも即死さえ無いならカット部分をHP増加にしてみるとタゲを取ってもすぐにはがして貰える状況というのが結構ありそうですね。
HPが1800xA部分に影響を与えているかどうかがまだわからないのでなんとも言えないのですが、
もし影響がないor小さいのであれば、おっしゃるようにHP増強することで敵対心は抜け易く死ににくい状態に持っていけますね。
2015/07/31 URL 編集
りがみり
こういうのを調べるのはパズルを解くような感覚でして、趣味の趣味?のようなものですw
今後ともよろしくお願いします!
2015/07/31 URL 編集