最近ツイッターで気になるツイートを見かけました。

某有名キャラクターを利用した作品を販売している人に対して「それは著作権の侵害ではないか?」と指摘した人が、逆に不快な気分になってしまったというのが概要です。
私もスクエアエニックス社の著作物を利用してブログを書いているわけですから、他人事ではありません。
兎角グレーゾーンと云われるこの問題ですが、何故グレーゾーンなのでしょうか?
簡単に言えば親告罪(権利者が申し立てる事で罪と認定される)だからですね。
同じ行為であっても、罪に問われる場合と問われない場合がある訳です。
では何故そんな曖昧なグレーゾーンに著作権を置いているのでしょう?
ゲーム制作において、最も時間とお金がかかるのはデバッグ作業であると聞いたことがあります。
しかし十数年程前からでしょうか。この状況は大きく変わり、ベータ版に参加するプレイヤー、SNSやフォーラム等でバグ報告をするプレイヤーにその多くを依存するようになっていきます。
公開前のゲームを一般の目に晒してしまうリスク、画像や動画を拡散されるリスク、それらを加味して尚プラス面の方が大きいと判断したためこのような状態になっていったのでしょう。
キャラクターにおいて、最も重要なのは周知です。端的に言えば宣伝ですね。
これもまた、勝手に絵を描き作品にして宣伝してくれるならいくらでもやってくれというのが最近の流れです。
共通して言えるのは、権利者の利益になっている事。
件のツイートも、仮に販売した者が利益を数万円得たとしても宣伝効果がそれ以上見込めると権利者が判断すれば放置でしょう。或いは、訴えにかかる費用と損害額を照らし合わせて放置される事もあるかもしれません。
一方で、単純にコピーしただけの代物であったり、キャラクターの価値を貶めていたり、単に気にくわなかったりすれば訴える可能性も十分あります。
著作権に限らず親告罪に杓子定規なルールは存在しません。敢えて言うなら権利者がルールです。
では、権利者が「ここまでは白、ここからは黒」と明確な線引きを示さない。示していてもその通りに運用されないケースが多いのは何故でしょうか?
例えば「権利者の利益に繋がるなら白です。」と書いてしまうと、今度は別の問題が発生します。
それはボランティアの認識を持っていない者を賃金を支払わずに働かせる行為と見なされるかもしれません。もちろん多くの人はそんな事気にしないと思いますが、仮にその中の一人が異を唱えると大きな問題に発展する可能性があります。わざわざそんなリスクを背負いたくはないですから、曖昧な表現で異なる対応を取るしかないのでしょう。
昨年から、本人の意向を無視したビッグデータ収集に待ったをかける国が現れはじめました。
大した事ではないと認識されていても、その意味と価値に誰かがふと気付き、国を動かすほどの大事に至るケースも事実あるのです。
稀有な発想と多大な労力で得た知的財産は守られて然るべきです。
しかし、第三者による作業や宣伝がその価値構築の数%を占めていたら?数十%を占めていたら?
著作物を守るのはとても大事な事。
著作物を本人が自由に扱うのは当然の事。
しかし、著作「権」を利用して事を成すのは別の問題ではないでしょうか。
切り離して考えるべき事柄をひとつの権利としてまとめてしまっている。それがグレーゾーンの正体だと私は考えています。
2018年12月30日、日本の著作権における非親告罪化が施行されました。ある一定の条件を満たすと、権利者の訴えが無くても罪に問われる事になります。
著作権分科会では『二次創作は例外とすべき』、『被害者が処罰を望んでいるか否かを十分考慮する』といった方向が示され、基本的には権利者が複数居て期限内の訴えが難しいケースでのみ適用されるものと思われます。
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コメント
クロエ
2019/05/24 URL 編集
りがみり
旧時代的な考えで整備された権利にその対応力は無い訳ですが、それでも何とかそこに収めなければならないが故の矛盾でしょうか。
2019/05/24 URL 編集
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2019/05/24 URL 編集
りがみり
2019/05/25 URL 編集